AI時代のスキルシートの書き方|エンジニアが評価される経験・スキルの伝え方

AIによるプログラミング支援が急速に普及し、エンジニアの仕事は大きく変わり始めています。

ChatGPTやClaudeなどの生成AIを利用すれば、コードの生成、エラー調査、設計案の作成、テストコードの作成などを短時間で行えるようになりました。

これまでのスキルシートでは、「Javaを5年」「PHPを3年」「Laravelを2年」といった経験年数や使用技術を詳しく書くことが一般的でした。

しかし、AIによって実装そのものの効率が大きく向上した現在では、単純に「何年その言語を使ったか」だけでは、エンジニアの能力を十分に伝えにくくなっています。

では、AI時代のスキルシートでは、何をどのように書けばよいのでしょうか。

AI時代は「何を作ったか」だけではなく「何を考えたか」が重要

従来のスキルシートでは、

  • Javaで開発
  • PHPでWebシステムを開発
  • MySQLを使用
  • Laravelを使用
  • 要件定義を担当
  • 基本設計を担当

といったように、使用技術や担当工程を中心に記載するケースが多くあります。

もちろん、これらの情報は現在でも重要です。

ただし、AIを利用すれば、プログラミング言語の文法やライブラリの使い方を調べたり、サンプルコードを生成したりすることは以前より簡単になりました。

そのため、今後は「どの技術を使えるか」だけではなく、

「どのような課題に対して、どのように考え、どのようなシステムを作ったのか」

を伝えることが重要になります。

例えば、

「PHPを使用してWebシステムを開発」

だけでは、具体的な経験が分かりません。

一方、

「既存業務の課題をヒアリングし、業務フローを整理したうえで要件定義・基本設計を行い、PHPによるWebシステムとして実装」

と書けば、単なるプログラミング経験ではなく、業務理解からシステム化まで対応できることが伝わります。

「使用技術」だけではなく「課題」を書く

AI時代のスキルシートで意識したいのが、「何を作ったか」だけではなく「なぜ作ったのか」を書くことです。

例えば、

「顧客管理システムを開発」

という記載があったとします。

これだけでは、システムの規模や目的が分かりません。

そこで、

「Excelで管理していた顧客情報をWebシステム化し、情報の一元管理と検索性向上を実現」

とすると、開発の背景が伝わります。

さらに、

「現場へのヒアリングを行い、既存業務を整理した上で要件定義・基本設計を担当」

と書けば、上流工程の経験も伝わります。

AIにコードを書かせることができても、「どのようなシステムが必要なのか」を判断するには業務理解や要件整理が必要です。

そのため、課題発見や要件定義の経験は、AI時代にも重要なスキルとしてスキルシートに記載する価値があります。

「担当業務」は具体的な行動を書く

スキルシートでは「SE」「PG」「リーダー」といった肩書きだけで終わらせないことも重要です。

例えば、

「SEとして参画」

だけでは、具体的な仕事内容が分かりません。

以下のように、実際に行ったことを記載します。

  • 顧客・現場担当者へのヒアリング
  • 業務フローの整理
  • 要件定義
  • 基本設計
  • 詳細設計
  • 設計書レビュー
  • PGへのタスク割り振り
  • 新規メンバーの教育
  • 問い合わせ対応
  • 障害調査
  • 仕様変更の検討

このように書くことで、単なる肩書きではなく、実際にどこまで仕事を担当できるのかが分かります。

特に「自分で考えて判断した仕事」は積極的に記載するとよいでしょう。

AIを「使える」だけではなく「どう使ったか」を書く

AIを利用している場合は、そのこともスキルシートに記載できます。

例えば、

「生成AIを利用した開発経験」

だけでは少し抽象的です。

具体的には、

  • AIによるコード生成
  • エラー原因の調査
  • SQL作成支援
  • テストコード生成
  • ドキュメント作成
  • 設計案の検討
  • コードレビュー支援
  • リファクタリング支援
  • 既存コードの解析
  • 技術調査

など、どのような場面でAIを活用したのかを書くことができます。

さらに重要なのは、AIが生成した結果をそのまま使ったのか、それとも自分で検証・修正したのかという点です。

AIは便利ですが、生成したコードが必ず正しいとは限りません。

そのため、

「生成AIを活用して実装・調査を効率化し、生成結果を確認・修正した上でシステムへ適用」

のように書くと、AIを単なる自動化ツールではなく、開発工程の中で適切に活用していることを伝えられます。

「AIに何を任せ、自分が何を判断したか」を明確にする

AI時代のエンジニアにとって重要なのは、AIを使うこと自体ではありません。

重要なのは、AIを使って開発プロセスをどのように改善したのかです。

例えば、

「AIにPHPのコードを書かせた」

だけでは、AIに作業を任せただけに見える可能性があります。

一方、

「既存コードをAIで解析し、仕様を整理した上で改修方針を検討。生成AIを利用して実装案を作成し、既存仕様との整合性を確認した上で修正」

とすれば、

「AIを使う人」ではなく、

「AIを使いながら開発を進められるエンジニア」

として経験を表現できます。

AI時代では、この違いが重要になります。

「成果」を数字だけに限定しない

スキルシートでは、成果を書くことも重要です。

例えば、

「システムをリリース」

だけではなく、

  • 新規サービスを立ち上げた
  • 既存システムを新しい業務へ対応させた
  • 全国展開に対応した
  • 手作業だった業務をシステム化した
  • 問い合わせ対応から仕様改善まで担当した
  • 新規メンバーの教育を担当した
  • 設計レビューを担当した

なども成果として記載できます。

もちろん、

「作業時間を30%削減」
「問い合わせ件数を20%削減」
「処理時間を半分に短縮」

といった具体的な数値があれば、より分かりやすくなります。

ただし、数字で表せない成果もあります。

例えば、プロジェクトの立ち上げからリリースまで携わった経験や、複数のメンバーを取りまとめた経験も重要な実績です。

「経験年数」より「経験の深さ」を伝える

AI時代になっても、経験年数はスキルシートの重要な情報です。

ただし、

「PHP 10年」

だけでは、その10年間に何を経験したのかが分かりません。

例えば、

「PHP 10年」

に加えて、

「要件定義から設計・開発・テスト・保守まで一貫して経験」

「既存システムの大規模改修を担当」

「チームリーダーとして設計レビューやメンバー指導を担当」

などと記載すれば、経験の深さが伝わります。

同じ「PHP 10年」でも、担当してきた業務や工程によって経験内容は大きく異なります。

そのため、経験年数だけをアピールするのではなく、どの工程まで対応できるのかを明確にしましょう。

AI時代のスキルシートで整理したい5つのポイント

スキルシートを作成するときは、次の5項目を意識すると整理しやすくなります。

1.何を作ったのか

Webシステム、業務システム、SaaS、ECサイトなど、開発対象を明確にします。

2.なぜ作ったのか

どのような業務課題を解決するためのシステムだったのかを記載します。

3.自分は何を担当したのか

要件定義、設計、開発、テスト、運用、リーダーなど、担当範囲を具体的にします。

4.どのように進めたのか

ヒアリング、仕様調整、設計レビュー、AI活用、チーム連携など、仕事の進め方を記載します。

5.何を実現したのか

リリース、業務効率化、機能追加、サービス拡張、チーム支援など、最終的な成果を記載します。

この5項目を整理するだけでも、単なる「技術一覧」から「実務経験が伝わるスキルシート」に変わります。

AI時代は「技術者」から「問題解決できるエンジニア」へ

生成AIによって、コードを書くための時間は今後さらに短縮される可能性があります。

その一方で、

「何を作るべきか」

「どのような仕様にするべきか」

「既存システムにどのような影響があるか」

「AIが生成したコードは正しいのか」

「ユーザーの本当の課題は何なのか」

といった判断は、依然として重要です。

そのため、これからのスキルシートでは、単純なプログラミングスキルだけではなく、

業務理解力
要件定義力
設計力
問題解決力
コミュニケーション力
AI活用力

といった能力が伝わるようにすることが重要になります。

特に、AIを使って開発速度を上げながら、自分自身で仕様を判断し、結果を検証できる経験は具体的に記載しておきたいポイントです。

まとめ

AI時代のスキルシートでは、「Javaを何年使った」「PHPを何年使った」という技術経験だけではなく、その技術を使ってどのような課題を解決してきたのかを伝えることが重要です。

特に、

  • どのようなプロジェクトだったのか
  • どのような課題があったのか
  • 自分は何を担当したのか
  • どのような判断をしたのか
  • AIをどのように活用したのか
  • どのような成果につながったのか

を整理すると、経験が伝わりやすくなります。

AIによってプログラミングそのものが効率化されても、業務を理解し、課題を整理し、仕様を決め、システムとして実現する仕事がなくなるわけではありません。

むしろAIを活用しながら、「何を作るべきか」を考え、「どう実現するか」を判断できるエンジニアの経験を、スキルシートでも具体的に表現することが重要になっていくでしょう。

これからスキルシートを作成・更新する場合は、単なる「技術経歴書」ではなく、自分がどのような課題を解決できるエンジニアなのかを伝える資料として考えてみるとよいでしょう。

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